Timeless City
”少年の夢は少年の私物である”
ある少年が机の上のスケッチブックに描いたことからはじまった。街の設計図鉛筆の先に力をこめて、点から線を引き、線から面、面から立体の順序にそって作っていく。その立体が大きさを変え連なることで徐々に街に息吹が宿っていく。頭の中のイメージをさらに形にしていく。そうだ、空に浮かべるのも良いな。あ、もう少し街に建物あるといいかも!四季が感じられるのも良いな、あと・・・
友だち:「この街はなんて名前なの?」
街の構成に心奪われていたことで、友だちから質問されていることにも一瞬反応が遅れたいけない!ただ作ることに夢中になっていた。彼は街に名前をつけることをすっかり忘れていた。何にしようか…「夢中な街」、「空の街」、「スカイシティ」。しまった、もっと名前を考えておけば良かった。時間忘れるくらい熱中していたしな。
あ!彼は答えた
少年:「タイムレスシティっていうんだ。この街はね・・・」
どーんと浮かぶ街
それは時計のようにもみえる街
かきわけるほどの雲々を太陽が型どって照らす光景がそのように見せているのか
それとも遠くの方の何かが気候の変化によって映し出された蜃気楼のようなものか
きっと悪天候のなかも進んできただろうが、街には倒壊した様子はない
まるで、何世代も前から世の中を覗いていたかのように堂々とした出で立ちで浮かんでいる
どうやらここには街が実在し、住人の暮らしがあるようだ
動力を得るためにを太陽の光により近い場所にできた街
日の光は街を照らし、その光を頼りに街に時間を知らせてくれる
空の上の街にはこんな日常があるらしい
ここには日常を飾るオベリスクや噴水、その周辺にはベンチがあり、四季折々の情景がある
この辺りを歩いている各々の自由な1日を垣間見ることもできる
ぼーっと日向ぼっこをしている者もいれば、読書をしている者もいる
小さな四季を写真に収める者もいれば、アクティブにジョギングしているしている者もいる
そんな何かに夢中になっている住人たちに、この景色がふとした瞬間にそっと時間を気づかせてくれる
日常をつくった長い歴史
ここには長い歴史があり、過去から現在までの物語の途中途中にしおりを挟み大切に保管している
住人たちは何か壁にぶつかったときに一度立ち寄り、原点となるこの街の成り立ちを熟読しているようだ
街を見渡すと美しい建造物
そこには扉があり、その先にはこだわりがある
そこでは当たり前だと思っていたものに対して扉を隔てて違った顔をみせてくれる
最近、外から訪れる者が増えてきたが、この光景に言葉を失う
そしてこだわりを求めて奥へ奥へと進んでいく
道に迷子にならないように
この街では環境整備も怠っていない
住人同士はもちろんのこと、外から初めて訪れる者が迷子にならないように街には案内役がいたり、案内標識が至る所に配置されている
正しい順路を示せるように常に準備している
住人たちはみな仲が良く、繋がりを大事にしているらしい
例えば、ある門を叩くと集会が行われている
知識人を招き入れ、好奇心旺盛な住人に教え伝えることでお互いを高め合い知識の習得や伝統の継承をし続けているようだ
この街でよく使われている共通の合言葉もこの集会から広がったものが多い
遠くの方にみえる。でも常にすぐそばに存在してくれるもの
文明や文化が違えど、あせない姿で私たちを見守ってくれている
一隻の大きな船に乗るかのように
コンパスの指す方角を頼りに漕ぎ続けるかのように
この広大な空を歩みをとめず
きょうも浮遊しつづける
時計の上のわたしの街